不安を解消したいとき:「考え」と「事実」を分ける方法
- 7月2日
- 読了時間: 4分
更新日:7月2日
「嫌われたかもしれない」
「また失敗するかもしれない」
「このまま悪いことが起きる気がする」
不安が強いとき,頭に浮かんだ考えが,まるで事実のように感じられることがあります。

けれども,頭に浮かんだ考えは,必ずしも事実とは限りません。
たとえば,LINEの返信が来ないとき,
「嫌われたのかもしれない」
「怒らせたのかもしれない」
「もう関係が終わるのかもしれない」
と考えてしまうことがあります。
でも,このとき事実として分かっているのは,
「返信がまだ来ていない」
ということだけです。

「嫌われた」「怒っている」「関係が終わる」というのは,事実ではなく,不安な気持ちの中で浮かんできた,主観的でネガティブな「考え」です。
そしてこのようなネガティブな考えに支配されるとさらに不安になり,もっと否定的な考えから抜け出せなくなっていきます。
このように,考えと距離が取れなくなり,考えをそのまま現実のように感じてしまう状態を,認知行動療法の一種であるAcceptance and Commitment Therapy(ACT)では,「認知的フュージョン」と呼びます。
認知的フュージョンは,「考えていること」が「事実である」と思い込んでしまっている状態を指します。
ACTでは,認知的フュージョンは心理的柔軟性を下げる要因の一つとして考えられています(Hayes et al., 2006)。
「考え」と「事実」を分ける方法
不安を解消したいときには,まず,不安な考えを消そうとするよりも,「考え」と「事実」を分けることが大切です。
たとえば,仕事でミスをしたとき,
事実は,
「資料に誤りがあった」
「上司から修正を求められた」
ということかもしれません。
一方で,
「自分は仕事ができない」
「もう信用されない」
「また失敗するに違いない」
という考えは,事実ではなく,ただ単に,頭に浮かんだだけの考えに過ぎません。
もちろん,ミスを振り返ることや,必要な修正をすることは大切です。
けれども,「ミスがあった」という事実と,「自分はだめだ」という考えは同じではありません。
この2つがくっついてしまうと,不安や落ち込みが強くなり,自分を責める考えが止まらなくなりやすくなります。
不安を解消したいときに使える3つの問い
不安が止まらないとき,考えすぎて苦しいときには,次の3つを自分に問いかけてみてください。
今,事実として分かっていることは何か
私は,そこにどんな意味づけをしているか
その考えを,「私は今,〜という考えを持っている」と言い換えるとどうなるか

たとえば,
「返信が来ない。だから嫌われた」
ではなく,
「返信が来ていない,という事実がある」
「私は今,『嫌われたかもしれない』という考えを持っている」
と分けてみます。
それだけで不安が完全になくなるわけではありません。
それでも,考えと事実を分けて,事実を客観的に分析できるようになることで,不安な考えに巻き込まれすぎずに済むことがあります。
カウンセリングでできること
不安が強いとき,自分一人で考えと事実を分けるのは難しいことがあります。
特に,
不安が止まらない
考えすぎて眠れない
人間関係のことをぐるぐる考えてしまう
仕事の失敗を何度も思い出してしまう
自分を責める考えが止まらない
というときには,考えに巻き込まれていること自体に気づきにくくなります。
カウンセリングでは,どのような場面で不安が強くなるのか,どのような考えが浮かびやすいのか,事実と考えがどこでくっついているのかを,一緒に整理していきます。
考えを無理に消すのではなく,その考えとの付き合い方を見直していくことができます。
神戸カウンセリングルームでは,オンラインカウンセリングを中心に,不安,ぐるぐる考えること,ネガティブ思考,人間関係の悩みについてのご相談をお受けしています。
些細なことかもしれないと思っても,大丈夫です。
不安な考えに巻き込まれて苦しいとき,今のお困りごとを一緒に整理するところから始めていきましょう。
参考文献
Hayes, S. C., Luoma, J. B., Bond, F. W., Masuda, A., & Lillis, J. (2006). Acceptance and commitment therapy: Model, processes and outcomes. Behaviour Research and Therapy, 44(1), 1–25.


