「カウンセリングが合わない・やめたい」と感じたら:相談先のセカンドオピニオン
- 7月25日
- 読了時間: 10分

カウンセリングを受け始めたものの,
「なんとなく話しにくい」
「自分の気持ちを分かってもらえていない気がする」
「通うたびに苦しくなる」
「このまま続けてよいのだろうか」
と感じることがあります。
カウンセリングが合わないと感じることは,決して珍しいことでも,相談する側の努力が足りないということでもありません。
一方で,「合わない」と感じた瞬間に,何も伝えずにカウンセリングから離れることが,いつも最善とは限りません。カウンセラーとの間に生じた違和感を言葉にすることで,進め方が調整されたり,自分が求めていた支援が明確になったりすることもあるからです。
ただし,怖さや危険を感じている場合まで,我慢し続ける必要はありません。
この記事では,カウンセリングが合わないと感じる理由と,やめる前に確認したいこと,別の専門家に相談する「セカンドオピニオン」という選択肢についてお伝えします。
カウンセリングが「合わない」と感じる主な理由
1.カウンセラーとの話し方や雰囲気が合わない
カウンセリングが合っているかを考えるとき,「話しやすいか」「心理士に好感を持てるか」が注目されることがあります。
もちろん,必要なことを伝えられないほど緊張したり,質問することさえ怖かったりする関係では,十分な支援を受けることは難しいでしょう。
しかし,気持ちよく話をすること自体が,カウンセリングの目的ではありません。
大切なのは,「現在抱えている問題が,軽減したり解決したりしているかどうか」です。
たとえば,
不安や落ち込みが以前より軽くなっている
問題が起きたときの対処方法が増えている
避けていたことに少しずつ取り組めるようになっている
同じ人間関係の問題を繰り返しにくくなっている
自分の状態や行動のパターンを理解できるようになっている
仕事,学校,家庭生活への影響が小さくなっている
といった変化があるかどうかを確認する必要があります。
毎回気持ちよく話せていても,長期間にわたって同じ問題が変わらず,今後の方針についても話し合われていないのであれば,一度カウンセリングの目的や進め方を見直したほうがよいかもしれません。
反対に,カウンセリングの中で耳の痛いことを指摘されたり,これまで避けてきた課題に向き合ったりして,一時的に居心地の悪さを感じることがあります。
不快だったからといって,直ちに「このカウンセリングは合わない」とは限りません。
重要なのは,
「その不快さが問題の改善につながる過程なのか」
それとも
「適切でない方法によって負担だけが増えているのか」
を見極めることです。
2.カウンセリングの目的が一致していない
相談者は「今のつらさを軽くしたい」と思っているのに,心理士は「子どもの頃の体験を詳しく扱う必要がある」と考えているなど,目標がずれていることがあります。
反対に,相談者は自分の生き方や対人関係を時間をかけて見直したいのに,心理士が短期間での問題解決を重視している場合もあります。
何を目指すのか,どのような方法で進めるのかについて,十分な説明や話し合いがなければ,「何のために通っているのか分からない」という感覚につながります。
3.受けている技法が今の自分に合っていない
ケアの段階や目的よって,適した技法は異なります。
例えば,
トラウマ処理の準備ができていない段階でそうした技法(例,EMDR等)を受けると,症状が急激に悪化して日常生活を送ることが困難になってしまう恐れがあります。
その一方で,準備ができた段階でトラウマ処理の技法を受けると,トラウマ起源の症状を解消することができるのです。
他にも,トラウマ処理が完了しないと,トラウマ起源の不適応的な行動や思考を,適応的な行動や思考にシフトさせることが難しい場合が多いので,トラウマを処理する前だと,認知行動療法が合わないと感じられる場合もよくあります。
その一方で,トラウマ処理が完了すると,より適応的な行動や思考を獲得しやすくなるので,時と場合に応じて,様々な行動や思考を使い分けられるようになります。
このように,カウンセリングにおいては,段階に応じた技法の使い分けがとても重要になります。
そのため,ある方法が今の自分に合わなかったからといって,「自分にはカウンセリングそのものが向いていない」とは限りません。
あるいは,
こうした「ケアの段階」の考え方を取り入れていない技法*も存在しています。
*だからといって,技法が劣っているわけではありません。技法の詳細については,別の記事(comming soon)をご覧ください。
このような場合には,以下のような対応が役に立ちます。
技法を変えてもらうように心理士に依頼する
担当者を,自分の望む技法を扱える心理士に変える

4.進む速さが合っていない
まだ話す準備ができていない出来事について,詳しく質問されたり,早い段階から深い感情を扱われたりすると,負担が大きくなり,症状が悪化することがあります。
「今はここまでなら話せる」「もう少し具体的な方法を知りたい」など,自分に合う速さを伝えることも,カウンセリングの大切な一部です。
5.時間,料金,頻度などの条件が負担になっている
内容そのものだけでなく,
料金を払い続けることが難しい
毎週通うことが負担になっている
予約可能な時間が合わない
対面またはオンラインの形式が合わない
相談後に休む時間を確保できない
といった現実的な理由で,カウンセリングを続けにくくなることもあります。
頻度を減らす,短期間休む,別の形式に変えるなど,生活に合わせて調整できる場合がありますので,担当者に相談してみましょう。
もし,続けることが難しい場合には,都合のつきやすい別の心理士を紹介してもらったり,忙しい時期が終わるまでの間だけお休みにしたりすることもできます。
「苦しくなった」ことは,すべて合わないサイン?

カウンセリングでは,これまで避けてきた気持ちや,自分でもうまく言葉にできなかった体験に触れることがあります。そのため,話した直後に疲れたり,一時的に気持ちが揺れたりすることがあります。
しかし,
「カウンセリング後,何日も生活できないほど不調になる」
「回を重ねるごとに状態が悪化している」
「つらさを伝えても,進め方を変えてもらえない」
「話したくないと言っているのに,無理に話すよう求められる」
という場合には,単に「治療には苦しさも必要だから」と我慢せず,進め方を見直す必要があります。
大切なのは,苦しくなったこと自体よりも,その苦しさについてカウンセラーと話し合えるか,状態に応じて安全な進め方へ調整してもらえるかという点です。
カウンセリングをやめる前に,担当者に伝えてみてほしいこと

安全に話せる関係である場合には,カウンセリングをやめる前に,今感じている違和感を伝えてみる方法があります。
きれいに説明する必要はありません。たとえば,次のように伝えることができます。
「最近,カウンセリングが自分に合っているのか分からなくなっています」
「話を聴いてもらえている感じが,あまりしません」
「今は過去のことよりも,現在の困りごとへの対処方法を相談したいです」
「カウンセリングの後につらさが強くなるので,進め方を相談したいです」
「このカウンセリングでは,何を目標にしているのでしょうか」
「別の方法や,ほかの相談先についても教えてもらえますか」
カウンセラーとの行き違いや不満について話し合い,関係を立て直すことが,その後のカウンセリングに役立つ場合もあります。
もちろん,伝えた結果,「やはり別のカウンセラーのほうがよさそうだ」と確認できることもあります。それも,話し合いによって得られる大切な結論です。
すぐに離れてもよい場合
「まずはカウンセラーに伝えてみる」という考え方は,どのような状況にも当てはまるわけではありません。
たとえば,
性的な言動や接触をされる
個人的な交際や金銭のやり取りを求められる
断っていることを繰り返し強要される
威圧,侮辱,差別的な発言がある
秘密を不適切に扱われている疑いがある
カウンセラーに逆らうと見捨てられるように感じる
怖くて,自分の意見を伝えられない
明らかに専門外の問題を,説明なく扱い続けている
といった場合には,無理に「最後の話し合い」をする必要はありません。
カウンセラーは相談者よりも力を持ちやすい立場にあり,その力を利用したり,相談者の信頼を損なったりしないよう,明確な境界を保つことが求められています。専門職の倫理指針でも,不適切な関係や見捨てるような終了を避け,必要に応じてほかの支援先につなぐことが重視されています。
危険や強い不安を感じる場合には,家族や信頼できる人,医療機関,別の心理職,所属機関の相談窓口などに相談してください。
カウンセリングにおける「セカンドオピニオン」
セカンドオピニオンとは,一般には,現在の担当者とは別の専門家から,異なる視点の意見を聞くことを指します。
医療における正式なセカンドオピニオンは,主治医以外の医師に診断や治療方針について意見を求めるものです。厚生労働省の情報でも,別の専門家の意見を得ることは,今後の治療を考え,納得して意思決定するための助けになると説明されています。
カウンセリングの場合には,必ずしも「セカンドオピニオン」という正式な制度があるわけではありません。それでも,別の公認心理師や臨床心理士などに,
「現在受けているカウンセリングの進め方について,別の視点から相談したい」
「今の自分には,どのような支援方法が考えられるか知りたい」
「担当者を変えるべきか迷っている」
と相談することは可能です。
セカンドオピニオンを受けたからといって,必ず現在のカウンセリングをやめなければならないわけではありません。
別の意見を聞いたうえで現在の担当者とのカウンセリングを続ける,進め方を変更する,別の相談先へ移る,一度休むなど,複数の選択肢を検討できます。
なお,精神科や心療内科に通院している場合や,薬を服用している場合には,カウンセリングを変えることと,医師による治療を中断することは分けて考える必要があります。薬の中止や変更は自分だけで判断せず,主治医に相談してください。
合わないと感じた自分を責めなくてよい
カウンセリングは,「つらくても我慢して続ければよい」というものではありません。
同時に,少し違和感があったからといって,必ずすぐに関係を断たなければならないものでもありません。
まずは,
「何が合わないと感じるのか」
「進め方を変えれば続けられそうか」
「担当者に安心して伝えられるか」
「別の専門家の意見を聞いたほうがよいか」
を整理してみてください。
安心して話せる状況であれば,違和感を伝え,今後の進め方を話し合うことができます。
一方で,怖さや不適切な言動がある場合には,無理に話し合おうとせず,その場を離れ,別の人や機関に相談して構いません。
カウンセリングを続けることも,休むことも,別の相談先を探すことも,すべて自分に必要な支援を選び直すための選択です。
「合わない」と感じたことは,カウンセリングに失敗したという意味ではありません。自分にとって必要な関わり方を知るための,大切な手がかりになることがあります。
神戸カウンセリングルームでは,「今の支援が自分に合っているのか分からない」という段階でのご相談もお受けしています。
無理に現在のカウンセリングをやめることをおすすめすることはありません。
お話を伺いながら,今のまま続けることがよいのか,進め方を相談してみることがよいのか,別の支援を検討したほうがよいのかを,一緒に整理していきます。
あなたが安心して支援を受けられる方法を見つけるお手伝いができれば幸いです。



